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2005年9月20日 (火)

江ノ電バス

enoden 夏休みに「小さな運転士 最後の夢---もう一つの江ノ電物語」という番組をやっていた。実話に基づいて作られたドラマだった。日テレのホームページから、その内容をかいつまんで引用すると、

幼い頃に母親を同じ心臓病で亡くした少年・西田朋久は、「江ノ電の運転士になりたい」という夢を持っていた。いつも父とともに江ノ電に乗って入院中の母に会いに行っていた少年にとって、江ノ電とは家族の絆を繋ぐ象徴的なものだったのだ。その夢を知った少年の父や周囲の人々は、夢を叶えるために奔走する。しかし、鉄道法では、一般人は電車の運転席にすら座れない、という規則があって―。
江ノ電の運転士・高梨洋平らの元に、難病の子供たちの夢を叶えるボランティア団体から連絡が届いた。それは、西田朋久という余命3ヶ月の少年の“江ノ電の運転士になりたい”という夢を叶えてあげて欲しい、という内容なのだ。江ノ電の幹部は、直ちに検討に入るが、鉄道法の規定でその要望には応えられない。だが、運転士・高梨ら現場職員たちは、江ノ電が大好きな少年の夢を何とか叶えてあげられないものか、と懸命に打開策を考えて―

ドラマでは、極楽寺の駅の引き込み線を使って、少年は江ノ電を運転した。現場運転士が法律書を読んで、ここなら鉄道法に引っかからないとわかったからだ。

このドラマがどこまで実話に忠実かわからないが、「江ノ電ならありうる話だなあ」と私は思った。

私は、同じ江ノ電でも、電車ではなく、毎日バスを通勤に使っている。江ノ電バスである。『鎌倉湖畔循環』という経路に乗るのだが、住宅街を回るため、普段は通勤・通学客ばかりだ。しかし、日曜日になると、ちょっと客層が変わる。バス路線上にハイキングコースや墓地があるためだ。

一昨日の午後、この路線バスの中でこんな光景があった。

日曜午後の『鎌倉湖畔循環』は空いていて、特に私が乗ったバスには、約10人ほどしか客は乗り合わせていなかった。始発の大船駅モノレール下を出て、15分ほど走ると『今泉不動』というバス停がある。ワンマンバスであるから、降りる人がいれば、チャイムを鳴らす仕組だ。次は『今泉不動』であることを知らせるアナウンスが車内に流れたが、誰もチャイムを押さなかった。しかし、バスは『今泉不動』で停車し、降車ドアが開いた。誰もチャイムを押していないのだから、誰も降車ドアに向かわない。すると、30~40歳位の運転士さんは、後ろの客席を振り向き、「お客さん、今泉不動ですよ」と言っている。どうやら、私の数列前に座っていた2人組みの年配のご婦人に呼びかけているようであった。おそらく、この人たちは乗車の際に、鎌倉湖墓苑あるいは称名寺に行くにはこのバスで良いか、運転手さんに確認していたのだろう。どちらのお墓に行くにもここが最寄りのバス停。マイクを通してではなく、わざわざ後ろの客席を振り向いて肉声で呼びかける様子に、いい感じだなぁ~、と思った。

江ノ電バスではそういったことはまだ見たことがないが、以前住んでいた地域の市営バスでは、よく運転士がマイクを通して客に注意していた。おばあちゃんなんかその声の大きさで、びっくりしてしまうし、運転士がマイクで客に注意すると、バス内全体が嫌な雰囲気になる。もっとも危険を伴うような緊急な場合はしかたないが・・・。

話を元に戻そう。その江ノ電バスの中、おふたりのご婦人は話に嵩じて、最初、自分たちに運転士さんが呼びかけているとわからなかった様子であったが、やがて気付き、「ああ、お墓に行くにはここで降りるのですか?」と言い、運転士にお礼を言いながら降りていった。

さて、それでもまだ運転士は、降車ドアを開けたままで、バスを発車させない。今度は優先席にお花を持ったお年寄りを見つけると、「お墓参りに行かれるのでしょう?」と声をかけている。さらに、「鎌倉湖墓苑ですか?」と続ける。この路線でここまで来ると、この先には大きな墓地はないから、お墓参りの場合、ほぼここで降りるのが確実なのだが、次の『鎌倉湖畔』バス停まで行ってしまう人が多いのだろう。道路の狭い住宅地を通るこのバスは一方向の循環運転だから,停留所を1つ乗り過ごすと,もう1回循環して来なければならない。料金も倍かかってしまう。

運転士さんから「お墓参りに行かれるのでしょう?」と声をかけられたおばあちゃんは、何度も何度もお礼を言いながら、ゆっくりと、ゆっくりと降りていった。

お彼岸だから、大切に思っていた人のお墓参りに行くのだろう。

オレンジ色の車体に緑の座席の江ノ電バス。全然あか抜けていないが、私のお気に入りである。

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コメント

そうかと思えば同じ鎌倉営業所の運転手で本郷台駅前で乗客扱い中の神奈中バスが邪魔だと運転席から降りてきて神奈中バスのドアを足で蹴りまくった運転手もいるんですよね~・・・・バスファンとして嫌なものを見せつけられました・・・・・2~3年前の話ですけど・・・
同じ型式のバスのドアを蹴る運転手の神経がわかりませんでした。

投稿: エアロスター | 2008年2月25日 (月) 21時19分

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