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2005年9月19日 (月)

やすお

昨日、やすお(仮名)と遊んだ。
やすおは2歳。最初はもう少し大きい他の子どもたち3~4人とおままごとをしていた。
僕も仲間に入れてもらった。すぐに仲間に入れてくれた。
小さな木の実や砂をご飯に見立てて、食事をすることになった。
食卓が調ったので、みんなで食べましょうということになった。
それじゃあと、僕が木の実のご飯に手を出そうとすると、
やすおが、「待って」と言った。
そして、僕の掌の6分の1くらいの大きさの手で、
僕の両手を持ち、「ちゃんと手を合わせて」と教えてくれた。
そうそう、食事の前にはお祈りをするんだったね。

お祈りが済んで、食事が始まった。
みんな砂や木の実を食べる真似をしている。
ところが、やすおは口の周りが砂だらけだ。
そう、やすおはまだ、ままごとをするのには小さすぎて、
本当に砂を口に入れてしまったらしい。
慌てて口を開けさせて中を見ると砂だらけ。
急いで水道の所に行き、口を濯がせようとしたが、なんせ2歳。
まだ、口の中で水をクチュクチュしてからはき出すこともできない。
「お姉さん」*たちにも手伝ってもらい、なんとか口の中はきれいにできた。
良かった。

ところで、僕はままごとをしていたテーブルから、水道に連れて行くまで、
やすおを抱っこしていった。
さて、口の中がきれいになったので、もとの遊びに戻ろうと、
場所を移動しようとしたら、やすおが下から両手を差し出してきた。
抱っこしてのポーズである。
やすおの仲間たちは、2、3歳から小学校低学年くらいまでなのだが、
一度抱っこをするとなかなか離れない。
そうすると、あまり遊べず、抱っこしているだけで
一緒にいる時間が終わってしまうので、
抱かずに遊ぶ方が、たくさん遊べるし、
腰も痛めないので、それが上手な遊び方なのだが、
自然と抱き上げてしまった。

それから、約2時間、やすおは、どんぐりを拾うとき以外、
ずっと抱かさっていた。一人で滑れる滑り台も抱っこのまま滑ると言い張った。
やすおは両手を僕の首に回し、両足も僕のお腹の辺りを挟んでいる。
そして、たとえば、ベンチに腰掛けたり、おろされそうな気配を感じると、
その小さな足を堅くし、絶対に降りないとしがみつく。

やすおの住むこの家に遊びに来たけれど、
やすお一人と遊ぶために来たのでなく、みんなと遊びに来た。
一学期にもこの家に遊びに来た時、
友だちになった英子・良子(ともに仮名)の姉妹とも遊びたかった。
でも、「今日はやすおとずっと二人で遊ぼう」と途中で考えを変えるしかなかった。
幸い一緒に遊びに行ったのが、僕の他に生徒と同僚の合計14人。
これは普段の月の倍以上の数。
僕たちは学期中、月に一回、ここを訪問する。
もう何度もここに遊びに来ていて、子どもと遊びなれている
高1生などは、一人で何人もの子どもたちと一緒に遊ぶすべを
自然と身に着けている。
(逆に、今回はじめて一緒に行った中1の生徒などは、
結局子どもたちと遊べなかったりもする。
でも、僕はそれでも参加してくれて良かったと思う)

やすおと一緒に歩いていると、自転車に乗った小学生の男の子が声をかけてきた。
「それ、僕の弟だよ。もう一人、あそこにいるよ。」
やすおは兄弟3人でこの「子どもの家」で暮らしているのだった。

さて、やすおは、この家の中(別棟には乳児の家もある。増築中であった)では
年下の方なので、昼食も早くから始まる。
それで、やすおを食堂に帰したあと、英子が僕を見つけた。
「あっ、来てたの? ここで待っていて、コーヒーいれてあげるから」
木でできたテーブルと椅子のあるおままごとスペースで、
10分近く待っただろうか?
英子が妹の良子を伴って、コーヒーとグラタンを持ってきた。
もちろん、おままごとだから、どちらも土と水でできている。
しかし、コーヒーはコーヒー色にできていて、
かき回すためのスプーンも付いている。これは小枝でできていた。
グラタンは、土と水の混ぜ具合が絶妙で、
マーガリンのケースに入っているので、とてもグラタンに似ていた。
幼い英子・良子の姉妹の心尽くしのもてなしが嬉しかった。

「子どもの家」の入り口に、児童相談所が作成したポスターが貼ってあった。
そこには、『里親になりませんか』と書いてあった。

*「お姉さん」とはこの施設で働く職員のことです。

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