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2005年11月30日 (水)

八木重吉

信仰詩人の八木重吉(1898~1927年)が次のような詩稿(詩集とならなかったもの)を残している。

さがしたってないんだ
じぶんが
ぐうっと熱が高まってゆくほかはない
じぶんのからだをもやして
あたりをあかるくするほかはない

「じぶんのからだをもやしてあたりをあかるくするほかはない」。彼はローソクのように光となって命をすり減らした。結核に冒され,29歳の若さで帰天した重吉。「さがしたってないんだ」という心境に行き着くまでの求道&闘病生活はどんなだったのか。

歿後32年して,出版された『貧しき信徒』(新教出版社 1958年)という詩集の中に,次の詩がある。

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしずかに鳴りいだすだろう

(「素朴な琴」)

051130_2 僕はこの詩を20年以上前に偶然人から聞いた。そのころ僕はクリスチャンではなかったが,この詩が,人間を超えた偉大なるものへの信頼に溢れていることは,すぐに感じることができた。そしてほどなく,大学近くのキリスト教書店で重吉の詩集を手に入れたのだったと思う(写真)。

若き晩年の詩だろう。神への信頼に溢れている。「素朴な琴」に自分を見いだし,「秋の美しさ」に聖霊の息吹を見ている。

明日から12月。秋は終わり,冬本番だが,私の住む古い町の風景はとても美しい。重吉は十代の後半,まだ受洗していなかった頃,この地で5年間暮らし,日曜日には,メソジスト教会(現在は日本基督教団の教会となっている)に通っていたという。

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