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2006年1月27日 (金)

構成的グループエンカウンター4<折衷主義>

前回は,カウンセリングにおける折衷主義の延長線上にエンカウンターがあることを述べました。今日は,実際のエンカウンターの折衷性とはどんなものかについて書きます。

エンカウンターはその出発点において,ゲシュタルト療法ワークショップに負うところが大であすから,エクササイズ(この用語自体ゲシュタルト療法用語です)はゲシュタルト療法の発想――「今-ここ」における気づきを引き起こし,そこから始める――で作られるものが多いです。エクササイズのタイトルを挙げるだけでは内容はわからないかもしれませんが,タイトルから内容を想像してみて下さい。(  )内は発案者です。もしも私が○○だったら」(大友秀人氏),「めざせ!環境博士」(今井英弥氏),「心をひとつに」(三浦康子氏。詳細は図書文化から出ている『エンカウンターで学級が変わる』シリーズをご覧になって下さい。以下にあげるエクササイズもだいたいこのシリーズに載っていますから。

傾聴志向のエクササイズや自他受容・肯定感をねらいとするエクササイズもあり,これらはいわゆるロジャーズ流の自己理論に支えられています。一時期まったくさえなかったロジャーズに対する評価ですが,カウンセラーの諸富祥彦氏が多数の一般向け新書などで紹介しているので,カウンセラーよりも一般の人たちの方が彼を評価しているかもしれません。傾聴志向のエクササイズの例は,「聞いてもらえる喜び」(足立司郎氏),「私をたとえると」(佐藤隆氏),「肩もみエンカウンター」(林伸一氏),「そうですね」(鈴木睦氏)などがあります。

しかし,傾聴志向のエクササイズばかりでは開発的(あるいは教育的な視点からの予防的な)カウンセリングとはなりません。ですので,シェアリング(ふりかえり)での発言に対して,ときには精神分析理論をもとに解釈したり助言したりもします。私はこの辺りがちょっと苦手なのですが・・・。

また,論理療法については,メンバーあるいはリーダー自身の種々のイラショナル・ビリーフ(irrational belief)を修正するに際し大いに役立ちますし,この理論を背景とするエクササイズもあります。「考えを少し変えてみよう」(鈴木由美氏),「キーパーソンの発見」(土屋裕睦氏),「みんなでリフレーミング」(中里寛氏)などがその類です。

交流分析については,当然エゴグラムを用いたエクササイズがあります。「気づきのワーク」(橋元慶男氏)などがそれです。

心理テストに代表される特性・因子理論を背景にしたエクササイズも,数は多くないが実践されています。「私の親しみやすさは?」,「日常行動を通して得意分野を知ろう」(どちらも大串清氏)がそうです。

行動療法理論はエンカウンターの環境づくりをする場合などに役立ちます。

そして,実存主義はエンカウンターを支える人間観であす。エンカウンターはグループ・アプローチの形態をとっていますが,その根底にある人間観は,ひとり一人が自分の人生の主人公であるという思想です。すなわち,「自分は自分である。私は,ほかの誰とも交換不可能な,かけがえのない『私』であって,だから私の人生は,私が自分で引き受けるしかない。だれも私の代わりに私の人生を生きてくれる人なんていない。だから私の人生は,私自身が責任をもって生きぬいていくしかない」(諸富祥彦氏の言葉)という個の自覚への目覚めをエンカウンターはねらいとしています。このように,エンカウンターが依って立つ人間観は実存主義思想なのです。実存主義そのものもまた折衷的な志向性を持っています。

エンカウンターはこのようにいろいろな理論の折衷主義の立場をとり,それは最近のカウンセリングにおける折衷主義の流れを汲むものですが,次回は,カウンセリングやエンカウンターでは,なぜ折衷主義がよいのか。この点を深めてまいります。

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