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2006年1月24日 (火)

構成的グループエンカウンター2<枠=自由>

1/20の「構成的グループエンカウンター」の続き。今回は,構成的エンカウンター(以下,単にエンカウンターと書きます)は一見,参加者を「枠」に嵌めているように思えるが,実は参加者に「自由」(もしくは「安心感」)を与えているという話を書きます。

エンカウンターは,構成的であるがゆえに,生徒の求めに,より自由に応えることがでます。

他のグループ活動は体験したことがあるけれどエンカウンターの体験はない人が,エンカウンターのマニュアル本を見ると,グループの構成の仕方や時間設定のうるささに,不自由な印象を受けます。曰く「これでは,生徒がイヤになってしまい,言いたいことも言えない」。曰く「話す時間が短すぎて,深まらず,人間関係づくりに役立たない」。こういった見解を何度も聞いたことがあります。しかし,一度エンカウンターを体験しますと,(もちろん例外はありますが)そのようなことを言うことがなくなります。それは次のような原理によるものと思われます。

「構成的」とは枠を与えるということでして,枠の種類は(1)ルール (2)グループの人数 (3)グループの構成(たとえば「見知らぬ人同士」とか「同じ進路志望の人同士」とか指定します) (4)時間の制限 などです。(國分久子他『エンカウンターとは何か』 図書文化 2000年)

この枠は何を意図して仕組まれるかといいますと,まずは,心的外傷の予防を考えて仕組まれます。たとえば,やや深いレベルの自己開示が必要なエクササイズを,あまり親しくない者同士で行わせることはしません。また,自分が一番大切なものについて考えさせる「火事になったら」というエクササイズがあるのですが(縫部義憲編著『人間づくり 第1集』瀝々社 1986年),このエクササイズは,メンバーの中に火事で家を焼失してから日の浅い者がいることがわかっているグループでは実施しません。

また,枠は,メンバーひとり一人が自己表現をしやすい環境設定のために仕組まれます。たとえば,「自分の将来について自由に話し合って下さい。話が終わりそうなころにこちらで合図します。話し終わらない場合は,また今度続きをします」と指示するよりは,あらかじめ用意したワークシートを配布し,記入する時間をとった後,リーダーが事前に決めておいた構成・人数のグループにし,「それでは自分はどの学部に行きたいか。そのためには何が必要か。一人3分ずつで発表して下さい。3分ごとに合図をしますから,次々と発表して下さい。なお,あとで自由に話し合う時間もとりますから,聞いている方は質問をせず,まずは聞くだけにして下さい」と指示した方が,ひとり一人の自己表現がしやすくなります。テーマと時間の枠が抵抗を少なくし,自由な言動を促進します。意図的に仕組まれた枠が実はメンバーに安心感と自由を与えるのです。したがって,時間も効率的に使えます。

この効率の重視もまたエンカウンターの特徴です。エンカウンターは,人の時間を奪ってはならないという現実原則に従っています(前掲『エンカウンターとは何か』)。たとえば,同じエクササイズに対する所要時間も,GWT(グループワークトレーニング)やNC(ニューカウンセリング)に較べて非常に短く設定されています(國分康孝監修『エンカウンターで学級が変わる 中学校編3』図書文化 1999年)。

このように,構成的であるがゆえに,生徒の求めに,より自由に,効率的に,その結果として,より多く応えることができることが,エンカウンターが現場に広がった大きな理由です。

ところで,エンカウンターは,実はカウンセリングの一つの種類です。「予防的カウンセリング」あるいは「応用カウンセリング」といったカテゴリーに分類されます。その辺りの話は次回以降にアップします。

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