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2006年2月25日 (土)

落語もやる学校

062025 私の勤務校は,いろいろなことをやる。正確には,勤務校の同僚はいろいろなことをやるといった方が正確かもしれない。そのいろいろなことは追っていつか紹介するとして,今日は一つだけ紹介したい。

それは,『落語』だ。勤務校では,高1に「ゼミ」という時間が週1時間ある。これは文部科学省が「総合的な学習の時間」なんて陳腐なことを言い出す前から行ってきた。(ちょっと落語の前にゼミの話を。。。)「ゼミ」は今年の場合,以下の15コースが設定されている。

    1. 歴史と今の再発見
    2. 沖縄
    3. 計算数学
    4. 立体紙工作
    5. マジック研究
    6. 宗教音楽
    7. 落語の世界
    8. おいしく汗をかこう
    9. 手話
    10. 韓国語
    11. 中国語入門
    12. たのしいスペイン語
    13. フランス語入門
    14. アコースティックギター
    15. 日本の社会のしくみを考える

これらのうち,語学に関するものやギターはこの時間だけの講師が担当しているが,半分以上のコースは,ふだん国語・社会・数学・理科・美術・体育などを担当している教員がコーディネートしている。

この中の,「落語の世界」担当者を中心とする教員有志によって,本校では,年に2回(今頃と9月頃),『寄席』を開催される。ただし,学校で行う『寄席』だからといって,大学の落研のようなノリではない。本格的な『寄席』を開催する。平素からゼミ「落語の世界」には,芸能史研究の第一人者であられる山本進先生(三省堂『落語ハンドブック』の編者)が協力して下さっており,先生のご尽力もあって,本校の『寄席』にはプロの噺家さんが出演して下さる。というか,本物の落語を知り,楽しんでもらおうという趣旨だからプロの,それも上手な噺家さんしか出ないといった方が正しいかもしれない。出演の常連は,柳家喜多八さんと柳家三三さんだ。いずれも柳家小三治師匠のお弟子さんである。

約200人収容の小ホールが会場となるが,だいたいいつも半分くらいは客席が埋まる。ただし,前回は九代目林家正蔵(こぶ平だった人)が出演したので,チケットは二日で完売した。なお,誰でもこの寄席には入場することができる。ただし,あまり宣伝はしない。在校生には一人一人お知らせプリントを出すが,あとは学校のホームページに載せるくらいだ。

さて,今日はその『寄席』が行われた。第10回であったから,もう5年間続いていることになる。客席は半分以上埋まった。在校生は(なぜか)中1と高1・高2が多く,全部で30人くらいだったと思う。(因みに今日は国公立大学の入試だったので,高3は頑張ったことだろう。良い結果が届けられるのを待っている。)教員は私を含めて4人が鑑賞した。その他は在校生の親御さんあるいは祖父母の方,そして卒業生であったが,これらの人の中には常連さんも多い。062025_2

今回も出演者は喜多八さんと三三さんのお二人の噺家さんで,演題は上演順に,『家見舞』(三三さん),『だくだく』(喜多八さん),『お菊の皿』(三三さん),『棒鱈』(喜多八さん)。中学生からその祖父母の方までが客層であるので,噺家さんにとっては,なかなか演題を選ぶのも難しいことだろうが,本当にホール全員が抱腹絶倒の笑いに包まれた。

この難しい客層でこれだけ盛り上がるのは,噺の本体の芸の円熟(特に喜多八さんの『棒鱈』の酔っぱらいは見事だった)によるだけでなく,まくらでのつかみのうまさがものをいっているのだろう。

大学生の頃,教育学の何かの授業で,「諸君,生徒に授業を聴いてもらいたかったら,落語を聴きに行って研究しなさい。下手な教育学の本を100冊読むのに匹敵するぞ」と言っていた教授がいた。「本当にそうだ」と思った。

(ここからちょっとカタイ話)
教育で大事なのは「リレーション」。これは落語の「つかみ」にあたる。ここで失敗すると,その後,立て直すのは至難の業。多くの場合,最後まで,生徒と何の関係も出来ずに終わってしまう。

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コメント

Good Evening Mr CT.
>教育で大事なのは「リレーション」。これは落語の「つかみ」にあたる。ここで失敗すると,その後,立て直すのは至難の業。

これって、企業でも同じですね。上司と部下の関係も同じなような。。。私は現在、上司になりたてであり、部下となって14年目です。上司の顔としては失敗した部下についきつく言ってしまい公開したり、部下としては上司への提案を間違った形でしてしまい、「つかみ」に失敗してしまうということでしょうか。
「つかみ」はとても重要ですね。。。

投稿: piyo | 2006年2月26日 (日) 20時04分

>>piyoさん
毎度,ご贔屓にありがとうございます。
(やや落語的ノリ)
>これって、企業でも同じですね。上司と部下の関係も同じなような。。。
はい。そうだと想像できます。
リレーションはつまりは人間関係です。
これができれば,言葉でコミュニケーションがすんなりできますが,
これにつまずくと,どんな言葉も通じなくなるという怖ろしい代物です。
そもそも,人間のコミュニケーション(伝達方法)のうちに占める言語の割合は,
3分の1くらいとも,約1割とも,5%程度とも言われています。
リレーションがうまくできていると,残りの7割ないし95%の部分でもコミュニケーション出来るとのでしょう。
よく,「リーダーシップがある」と言われる人は,このリレーション作りに長けた人なのでしょう。
しかし,それも,最後は人間性にかかっているとも・・・。
はあ~。
ところで,昨日は落語家さんと夕食を共にし,
軽く飲んだのですが,
高座とはまた違った面白さがありましたよ。
プロって凄いって,勉強になりました。

投稿: ct(管理者) | 2006年2月26日 (日) 20時22分

CTさま、こんばんわ。
>高座とはまた違った面白さがありましたよ。
わあ、そうなんですか。いつか又ブログで聞かせてください。
私は小さい頃今は亡き桂しじゃくさんに小学校のときに会ったことがあります(会ったというか、通学路で落語を練習しながら歩いていたしじゃくさんをみつけました)かけよってもらったサイン、(NOTEの切れ端ですが)。思い出します。まだもっているはず・・・。

PS:きょうはずっとPC立ち上げていたので、リアルタイムでCTさまと会話できました。嬉しいです。

投稿: piyo | 2006年2月26日 (日) 20時34分

>>piyoさんへ
桂枝雀さん!大好きな大好きな芸人さんでした。
彼は天才と言われた人ですが,通学路で練習しながら歩いていたんですかっ!
うつ病を患い,60歳の若さで逝ってしまいました。
7~8年前ですよね。
おっ,ここでソロモン王の方にもコメントが。
>きょうはずっとPC立ち上げていたので
とのこと。
まるで,チャットのような時間でしたよ(^.^)
piyoさんは,もうチューハイ飲んでいますか?

投稿: ct(管理者) | 2006年2月26日 (日) 20時52分

酔っ払いの落語と言うと、笑福亭松鶴さんと林家小染さん、この二人は演技か本当かがわからないところがすごかったと思います。桂枝雀さんは天才肌でしたね。たしか英語落語のさきがけだったと思います。関東の落語家では、橘家 円蔵(月の家 円鏡)さんは、先に落ちをばらしてから経過を楽しませる刑事コロンボのような話の構成が面白いですね。
「つかみ」で思い出すのは新人研修のスタッフをやったときです。資料に「なめられないようにガツンとしておきましょう」とあったので「ガツン」とやりすぎて、しばらく新人たちに恐れられていたことがあります。「つかみ」は重要ですね。

投稿: さかば | 2006年2月27日 (月) 02時40分

>>さかばさんへ
さかばさんも落語がお好きなようですね。
笑福亭松鶴さんと林家小染さんの酔っぱらいは,
多分どちらもまだ(生で)観たことがないので,
是非観てみたいと思いました。
また,寄席に出かけたいです。

投稿: ct | 2006年2月27日 (月) 22時44分

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