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2006年2月16日 (木)

博士の愛した数式

060216 私のbookmark集「ブログの輪」に加えさせていただいているpiyoさんが,小川洋子著『博士の愛した数式』(新潮社)を,「いい話だ」と自らのブログ「うつらうつらとまどろみながら」で紹介されたのは先月の23日でした。その直後,同僚で先輩数学教師のA氏からも,「この本は面白い」と薦められました。この本のことは知っていましたが,それまでは今ひとつ読む気がしませんでした。しかし,piyoさんとA氏が,ほぼ同時に,「いいよ」と言っておられたので,読んでみました。

久しぶりに,じんわりと感動する小説でした。

これから読まれる方にストーリーがわからないように私が感動した理由を伝えるのは難しいものです。ですから,ブログに書こうかどうか迷いました。しかし,逆にこのブログを読まれた方が,『博士の愛した数式』を読んでみようかな~,という気になることを願って,心に響いたフレーズを,数カ所引用しようと思います。

「理由は神様の手帳だけに書いてある。」
まず最初に博士のこの台詞が響きました。
後になると,他の登場人物も,
「私は神様の手帳の重厚さ,創造主のレース編みの精巧さを思った。どんなに懸命に一目一目たどっていても,ほんの一瞬油断しただけで,次に進むべき手掛りを見失ってしまう。ゴールだと歓喜した途端,更に複雑な模様が出現する。」なんて考え出します。(これ以上ネタバレごめんという方は,ここらで切り上げて下さいな・笑)
神様抜きにこの小説は成り立たない気がします。この人はさらに,
「蟻がわがまま放題に行列を作っているような,赤ん坊が不恰好に積み木を重ねたような,偶然で無秩序で取り留めのない数字の羅列が,実ほ筋道の通った意志を持っているのだから,手に負えない。神様の計らいは底知れない。」とも考えます。
この登場人物は,このように神を賛美するだけではありません。
「永遠に正しい真実の存在が必要だった。目に見えない世界が,目に見える世界を支えているという実感が必要だった」と求めています。

最近,お風呂のCMに登場しているガリレオ・ガリレイ(1564-1642)は,「地球は動いている」でも有名ですが,「神はご自身を表すために二つの書物を残した。一つは聖書で,一つは自然だ」という有名な言葉を残しています。また,同時代の(今でいう)天文学者ヨハンネス・ケプラーは,数の比に神の合理性を感じ,彼はそれを拠り所に『惑星の運動に関する三法則』を発見しました。

自然法則が美しいことには「理由」があるのだと思います。同じように,他のどんなことが起こるのにも,「理由」があると思います。これらの「理由」はどちらも「神様の手帳の中」なのでしょう。そして,それはすべてを超越した良い意志そのものであると信じられること。それが,この小説の作者のいう「目に見えない世界が,目に見える世界を支えているという実感」なのかなあと考えています。

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コメント

こんばんわ!こんな風にコメントしていただいて、うれしいです。
又、この本を読み返して、MAGISさまの抱いた想いも思い出しながら、感動を分かち合いたいです。今週末、再度ゆっくりともういちど、読もうとおもいます。

投稿: piyo | 2006年2月16日 (木) 23時30分

こんにちは、kumirunです。
コメントとTBありがとうございました。
なので、私も、TBしてみました。(^-^)

ところで、なるほど、そいういう感じ方もあるわけですね。そして、とても深い部分で感動されたのだと感じました。やはり、読む人によって、さまざまな感想がありますね。
しかし、本の内容を書かずに、感想をのべるって難しいですよね。私は、アレは、かなり苦労して書いてます、苦労した割りに、アレだけしか書いてないのですが(^^;
こういう時、文章力が欲しいなぁとつづく感じます。(笑)

投稿: kumirun | 2006年2月17日 (金) 12時21分

>>piyoさんへ

>この本を読み返して、MAGISさまの抱いた想いも思い出しながら、感動を分かち合いたいです。

それはそれはどうもありがとうございます。
そちらのブログも読ませていただいています。

投稿: ct(管理者) | 2006年2月18日 (土) 09時14分

>>kumirunさんへ

>読む人によって、さまざまな感想がありますね。

そうですよね。
その本をどう面白いと思うか,あるいは,
どうしてつまらないと思うかは,
結局,その人の価値観や歩んできた道に,
強く影響されますよね。
でもまた同時に,
本がその人の歩みや価値観に
大きな影響を及ぼすこともありますよね。

同じ本を読み,感想を分かち合うことは,
その人の生き方を示し合うこととも言えると思います。
ちょっと大袈裟ですか(^^ゞ

投稿: ct(管理者) | 2006年2月18日 (土) 09時22分

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» 博士の愛した数式(小説) [・・ごきげんうるわし・・]
昨日、夫が「ダ・ヴィンチ・コード(上)」を読んでいる間、 私は、母から借りた「博士の愛した数式」を読んだ。 一言で感想を言ってしまえば、とても静かな感動を覚える小説でした。 家政婦の私とその息子のルートと、博士。 この3人の温かい時間の流れが、とても心地よかった。 数字でしかコミュニケーションを取ることが出来ない博士だけど、 ルートを傷つけまいと一生懸命になる姿が、静かに胸を打つ。 そして、博士を傷つけまいと一生懸命になるル... [続きを読む]

受信: 2006年2月17日 (金) 12時16分

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