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2006年5月27日 (土)

高1ゼミ『自分とつきあう』ネイチャーゲーム編

今週の高1ゼミ『自分とつきあう』は,教室を出て,野外で行った。
勤務校は敷地が大変広く,また,自然にも恵まれている。
だからだと思うが,生徒は全体的に外で体を動かすことが大好きだ。
前回はエゴグラムをやったのでだいぶ疲れたのだろう。
最後に「来週は野外で何かするかっ?!」と生徒に問いかけたところ,
3人とも「よっしゃ~」という表情をしていた。
だから今週はその通り,野外(といっても校内だが)活動の準備をしていた。
幸いゼミの日(24日)は非常に良い天気だった。
(尤もその日の夕方には大雨洪水警報が出るほどの大雨となったが)

さて,行った野外活動だが,ゼミ『自分とつきあう』の目的に沿ったものを準備した。
メインはネイチャーゲームの『サウンドマップ』。(内容は左のリンクをクリックして下さい)
前にも書いたが,このアクティビティの発案者はネイチャーゲームの創始者・ジョセフ・コーネルで,活動の目的は,「聴覚をとぎすます」,「音を通して自然を感じる」,「音や静けさを味わい,まわりの自然にとけ込む」ことだといわれている。
しかし,私がこの活動をするときには,最後のシェアリングに重きを置くことにしている。
体験の分かち合いこそ,人と人がお互いを知り,自分自身を知る,選れた方法だからである。

前に中1のオリキャンで行った『サウンドマップ』の報告を,職場内のMLに流したところ,
いつもお世話になっている大先輩の教員(国語科)から,

音を聞いた経験を音の発生源に還元してしまわないで、聞いた自分の感覚をできるだけそのまま書きとめようとするのはすごく面白いと思う。そして後からこれを人に伝えるという部分も面白そう。聴覚は「気配」ですから、視覚よりずっと不定形で、その部分での交流ができれば、もう以心伝心に近くなるんじゃないだろうか…

というレスをいただいた。
なるほど,聴覚は「気配」なので,不定形だ。
音をイメージで描く『サウンドマップ』は,だから方法も理に適っているのだと,
上に引用した同僚教員のレスによって改めて気づかされた。
そして,それの分かち合いは,「以心伝心」に繋がる。
そういえば,僕自身サウンドマップを,この5年くらいの間に4回やってみたが,
できあがったサウンドマップを見せ合いながら,音の体験を分かち合った相手のことは
全員良く覚えている。
今回は,僕を含めて4人でサウンドマップを分かち合った。

ところで,『サウンドマップ』をする前のウォーミングアップとして,定番の『音いくつ』(これも内容は4/29のブログにあります)を行ったが,この日はその前にもう一つ面白いアクティビティをやってみた。それは,『目かくしイモ虫』という活動だ。この活動は次のように行った。

  1. 一列に並ぶ。
  2. 先頭の人(私)以外は全員バンダナで目かくしをする。
  3. 前の人の肩に手をかける。(電車ごっこの要領だ)
  4. 先頭(私)が誘導して,ゆっくりとあちこちを歩く。
  5. 終わったら,全員目かくしを取る。
  6. 歩いていたときの感想をシェアリングする。

この日は校舎の玄関を出たところから,『サウンドマップ』を実施した場所まで,直線距離にしたら100メートルほどのところまでを,『目かくしイモ虫』で歩いた。もちろん,直線コースを辿ったのではない。足の感覚が色々と変わるコースを通った。もちろん事前に私一人で下見(校内だがじっくりと)しておいた。

まずは,校舎の前のアスファルトの通路を歩いていたが,そこは中1教室の前だった。そのとき,ゼミのメンバーは,「あっ,なんか声がするぞ」と言った。やがて,アスファルトの通路は左に曲がりながら,下り坂となるのだが,勾配が始まるとすぐに,「あっ,下がっている」と言い出した。下り勾配が終わると,「あっ,平らになった」と言う。

一番面白かったのは,テニスコートを横切ったときだ。コートに入った途端,みんな「ん,なんか変だぞ」と言い出した。そして足で盛んに感触を確かめている。「え,何コレ?」,「土?」,「コンクリート?」,「砂浜みたい!」。コート3面を過ぎた辺りで,一人が,「わかった!テニスコートだ!僕はテニス部だからわかる。そうそう,この感触!」と誇らしげにニコニコして言った。それでも他の2人は,「えっ,そうなの?」とか「僕はテニスコートに入ったことがないから,そう言われてもよくわからない」と言っていた。それでも,テニス部の一人は,「間違えない,間違えない,この感触!」と喜んでいる。テニスコートは,短い人工芝の上に砂がまかれているものなので,彼のようにいつもコートに入っている生徒でないと,どんなところを歩いているのかなかなか想像するのが難しいに違いない。

テニスコートを抜けて,今度はちょっとした林の中を歩いた。ここは小さな起伏があるので,そのように告げ,ゆっくりと歩を進めた。「枯れ葉を踏んでいる感じ」とか,「今,木の根っ子を踏んだ」とか言い合っていた。
最後は野球場に隣接するブルペン付近を歩いた。ここでは,「あっ,今度は草の上だ」と一同。

ここで,『サウンドマップ』をするつもりでいたので,目かくしを取ってもらった。「うわ~,まぶしい」,「えっ,ここだったの?これだけしか歩いてなかったの?」,「あっ,だいたいこの辺りだろうと思っていた」と感想を出し合っていた。

『目かくしイモ虫』で歩いている間中,3人の高1生徒は,ずっと語り合っていた。しかも,「下がったぞ」とか「何か聞こえるぞ」とか,全部が感覚を表現していた。今回は何か特別な匂いのする場所がなかったが,もし,そのような場所(香りのする花の傍など)を通ったならば,それも感じ,表現していただろう。

私たちは普段,視覚から最も多くの情報を得ているという。それが遮られたのだから,恐かったと思う。しかし,先頭で歩いている私は目を開けており,極めてゆっくりと歩き,さらに,たとえば柔らかい葉っぱが垂れ下がっているところを歩きときなどは「頭に何か触れるかもしれませんが,柔らかいものですから心配は要りません」などと声をかけた。

視覚を遮り,安心感を与えた途端に,生徒たちの他の感覚が一斉に目を覚ました。歩きながら生徒の口から出てくる言葉を聞いていたら,普段使われていない感覚が,ここぞとばかりに活躍して,喜んでしゃべり出しているように聞こえた。

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コメント

「目かくしイモ虫」、私も4月の自然学校の
チームビルディング&アイスブレークの一貫でやりました。

面白いですよね。
視覚以外の感覚が敏感になる。

生徒さんたちの様子が目に浮かぶようです。

自分の体験も思い出しつつ読ませていただきました。

投稿: もー | 2006年5月28日 (日) 01時13分

「目かくしイモ虫」はまだ未経験です。
でも、複数の参加者が居る場合、「私の木」に変わるものとしてぜひやってみたいと思っています!
ずっと語り合っていたというのは、面白いですね。
貴重な共通体験としても。
ネイチャーゲームは、リーダー活動よりも、まずは自分が体験してみたいと実は思っています。(笑)

投稿: りりやっこ | 2006年5月31日 (水) 06時45分

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