傾聴体験
この頃の子どもたちのコミュニケーション・スキルが低下した理由の一つに,「他人の話をきちんと聴けなくなった」ことが挙げられている。それで,「他人の話をよく聴きなさい」とか何度も注意する。だけれども昔のように効果が上がらない。当たり前ですよね。そういう話もきちんと聴けなくなっているのですから!
そこで,学級づくりなどの集団形成の際,「伝え方・聴き方」の練習を取り入れます。その際,サイコが好きな人(私もそうなのですが)は,だいたいロールプレイ式のエクササイズを取り入れることが多いと思います。SGEなどにも,なかなか良いエクササイズが準備されています。しかし,なかなかこれが効を奏しません。もちろん私がSGEのリーダーとして非力であることが第1原因でしょうが,「時代」の深刻さも感じます。
しかし,それで諦めていたのでは,コミュニケーション・スキルの獲得を諦めることになります。
そこで,・・・
私は「伝える」こと,「聴く」ことの体験型のエクササイズを行うことにしています。
やり方はこうです。
(1)言語で説明するのは,そう簡単ではない図を用意する(2種類)。
(2)2人組ペアを作る。
(3)(1)の図のうち,1種類をペアの1人に渡し,もう1人には白紙を渡す。今回はB5版にした。
(4)図を渡された方は,言葉だけを用いて,ペアとなった相手に図を説明する。聞き側は説明された言葉だけを頼りに,相手が持っている図を描く。ジェスチャーや指さしはいっさい禁止。
(5)このとき,上手く説明ができるように,図を配ってから説明開始前に5分程度の間を取り,説明する側にどうやって上手く伝えるかを考えさせる。
(6)伝える側の準備が調ったら,伝え始める。そしてペアは必死に聞き取り,相手が持っている画を再現しようと努める。
(7)今回(写真参照)のような画の場合,15分程度で切り,みんなで品評会をする。その際,「どこがわかりづらかった」とか「それはなぜ」とか「どの辺りは簡単だった」とか,リーダー(私)も聴いたりして気持ちをシェアする。
(8)役割(図の種類も)を交替し,同じワークを行う。
(9)全体シェアリングを行う。
さて,このエクササイズは高1ゼミ『自分とつきあう』で実施しました。
完成図をアップしておきます。
いずれも,右がこちらで用意した図で,右がそれを言葉で伝えられた生徒の描いたものです。
このエクササイズは画の正確を競うものではありません。
(それにしても良く描けています。生徒の言語化能力の高さが光っています。)
きちんと伝えるの体験と,きちんと聴くこととの体験を分かち合ってもらったわけです。
ちょっと踏み込んだ言い方をすれば,
言いたいことをわかってもらうことと理解することの大変さと,
それを可能にするにはどうすれば良いかを体験してもらったわけです。
ロールプレイ式のエクササイズも時と場合によっては効果を上げますが,
今回のような体験の分かち合いは,
コミュニケーションスキル・トレーニングとして相応しいものと私は重視しています。
※ 紹介したエクササイズは,縫部義憲著『人間づくり・第3集』瀝々社1989年p.40~42に載っています。
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コメント
こんばんは。
以前学校グループワークトレーニングの講習で、これと似た実践を試したことがあります。
「マルとてん」というもので、「マルをかきましょう。次にそのマルの上にてんをかきましょう。」というただそれだけなのに、出来上がったものはどれも千差万別で、、、というものです。
小学生向けですから、すごく簡単ですが、「話すこと、聞くこと」の指導ではとても効果があったと思います。
コミュニケーションスキルを磨くエクササイズを探しているので、この記事がとても参考になりました。これからもたくさん紹介して下さるのを、楽しみにしています。
投稿 hawa | 2006年6月18日 (日) 00時38分
>>hawaさんへ
小学生向けの「マルとてん」面白そうですね。
「千差万別」だから良いですね!
>小学生向けですから、すごく簡単ですが、「話すこと、聞くこと」の指導ではとても効果があったと思います。
はい。手に取るようにわかります。
>コミュニケーションスキルを磨くエクササイズを探しているので、この記事がとても参考になりました。これからもたくさん紹介して下さるのを、楽しみにしています。
はい。たとえば,『人間コピー』ってご存じでしょうか?
追い追いアップする予定です。
これからもご贔屓に。
投稿 ct(MAGIS) | 2006年6月18日 (日) 00時52分
こんばんわ。
とても興味深いです。
一見ソフトというか、とても楽しそうなものなのに、
しっかり核心をついているというか。
人の話を聞けなくなっている。
とても悲しいし、もったいないですよね。
なぜ人の話を聞けるようにならなければいけないか。
っというか、聞くべきなのか。
自分にとって、プラスになることがあるからということを、
自身が理解し、進んで聞けるようになっていければ素敵ですね。
子供は「聞きなさい」「しなさい」と漠然と押し付けられても
拒否すると思います。
なぜ、そうしたほうがいいのか、理由を理解してないからだと思います。
実際に私もそうだったので(笑)。
長いレスになってしまいました。
投稿 ちくわ | 2006年6月18日 (日) 01時04分
>>ちくわさんへ
ブログを読んで下さってありがとう!
さらにコメントまでいただいてしまい,嬉しいです。
>自分にとって、プラスになることがあるからということを、
>自身が理解し、進んで聞けるようになっていければ素敵ですね。
はい。そうなんです。
>子供は「聞きなさい」「しなさい」と漠然と押し付けられても
>拒否すると思います。
これもおっしゃるとおりです。
大人だってそうですよね。
>なぜ、そうしたほうがいいのか、理由を理解してないからだと思います。
そうなんです。
だから,この画を言葉で伝えるというワークを通して,
伝える方法や,聴くことの大切さを体験してほしいと思いました。
>実際に私もそうだったので(笑)。
わっはっはっは(大爆笑)
投稿 ct(MAGIS) | 2006年6月18日 (日) 01時12分
私もネタは違いますが
こういった教材の聴く体験、伝える体験をやることがあります。
2ラウンド形式で、
1回目は、話し手が話し手が一方的に話す
2回目は、書くほうはわからないことがあったら質問する
といったような、
一方通行のコミュニケーション、
双方確認しあうコミュニケーションの体験です。
MAGISさんのやり方も面白いですねー。参考になりました。
投稿 もー | 2006年6月18日 (日) 16時31分
こんばんわ。
>,「他人の話をきちんと聴けなくなった」ことが挙げられている
他人の話を聞くことがコミュニケーションの第一歩だと私も思います。
わが社でも管理職に「積極的傾聴」をよびかけています。
でも、できていない管理職のほうが多い。
ですから、昨日我が部署のアンケートの際、私は「積極的傾聴」を心がけてください。と管理職のかたがたにお願いしました。
まず、全て聞いてから、否定してください。
でないと、おかしな方向にいっちゃいますからね。。。。
そう伝えたつもりです。
投稿 ぴよ | 2006年6月18日 (日) 19時06分
>>もーさんへ
>2ラウンド形式で、
>1回目は、話し手が話し手が一方的に話す
>2回目は、書くほうはわからないことがあったら質問する
>といったような、
>一方通行のコミュニケーション、
>双方確認しあうコミュニケーションの体験です。
はい、はい。
これって基本ですね。
私も、そのような方法を、きちんと時間を区切って実施するエクササイズをよく実施します。
今回は、割合成熟したグループで実施しましたので、
こちらがそのような指示を出さなくても、
自然にそのような流れになっていました。
いいエクササイズがあったら、また教えてください。
投稿 ct | 2006年6月18日 (日) 21時49分
>>ぴよさんへ
コメントから、
なかなか大変な職場の様子が窺い知ることができます。
その中で、
>・・・昨日我が部署のアンケートの際、私は「積極的傾聴」を心がけてください。と管理職のかたがたにお願いしました。
とのこと。
ぴよさんの仕事に対するまじめさ、そして、
他と共に向上しようという、人として「良さ」を感じます。
さて、クロアチア戦キックオフです。
ぴよさんはお手製のイカの燻製をおつまみに缶チューハイを飲みながら観戦でしょうか?
投稿 ct | 2006年6月18日 (日) 21時58分
サッカーを見たり、ブログを読んだり、仕事をしたり・・・日曜の夜は大忙しです。
『人間コピー』内容は知っていますが、やったことはないのです。
実は今週、授業研で「話・聞」に重点を置いた国語の授業をします。そこで、ちょっと今回の記事に似た『ような』エクササイズを取り入れて行う予定です。子どもたちからどんな反応がかえってくるか、楽しみでもあり、不安でもあります。自分のブログにでも結果報告をしようと思いますので、その時は読んでください。
投稿 hawa | 2006年6月18日 (日) 22時30分