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2006年8月 7日 (月)

キャッチャー・イン・ザ・ダーク

7/29~7/31にクラスの生徒45人を引率して『海のキャンプ』(通称:海キャン)に行きました。
勤務校の海キャンは三浦半島にある勤務校専用の施設である臨海教室で毎年行われています。
臨海教室はぎゅうぎゅうに詰め込めば100人くらいは収容できるのですが,
昨今は安全面に配慮して,クラスごとに(つまり45人ずつ)実施します。
引率教員は十数名です。他にライフセイバーの方も参加してくださいます。

この海キャン。
昔は泳力育成が主なる目的だったそうですが,
時の流れの中で,今日では,安全に海を楽しむことの方に主眼が移されてきました。

もちろん,水泳を選ぶこともできますが,これは必須ではなく,
全員にやってもらうのは,ライフ・セイヴィングの基本的な練習だけです。
他に磯観察,シュノーケリング,釣りが用意されています。
なお,水泳を選択した場合でも,海に出ず,施設内の深さ130cmのプールで
泳ぎの練習や水球等を楽しむこともできます。

また,夜は夜でお楽しみプログラムが用意されています。
せっかくのクラス単位の宿泊行事ですから,担任は趣向を凝らしていろいろやります。
それで,私のクラスの場合,
この海キャンの目的を
(1)まず,自然と出会おう
(2)自然との出会いを通して,他の何かと出会おう
としていましたので,夜もそれに沿ってプログラムを組んでみました。

今日は第一日目の夜に実施した『キャッチャー・イン・ザ・ダーク』の報告をします。

この『キャッチャー・イン・ザ・ダーク』のオリジナルは,Kurayami_1 ジョセフ・コーネル著『ネイチャーゲーム1』(柏書房 1986年)で紹介されている『暗闇を照らせ』という活動です。同著では,このアクティビティは「自動車の通らない夜の道で行います」と記載されています(P.124)。これを臨海教室の校庭バージョンに変えて実施してみたわけです。ゲーム名は,今回審判を引き受けて下さった同僚の教員の命名です。彼は『ライ麦畑でつかまえて』の原題"The Catcher in the Rye"をヒントに『キャッチャー・イン・ザ・ダーク』と名付けてくれました。このゲームを実施した時間帯は夜9時前から9時半過ぎまででした。やり方は,

  1. 臨海教室の芝の校庭に,白いロープで右図のような台形のエリアを作り,スタートライン,ゴールラインが見えるように4本の懐中電灯で照らしておく。(なお,この懐中電灯はラインを照らすという実用性以外に,雰囲気を作るのに大変重要な役割を果たします。生徒がフィールドに到着する直前に他の教員に点灯してもらいました)
  2. 図の見張り役の位置に,椅子と目隠しと,点灯していない懐中電灯を一つずつ置いておく。
  3. 生徒を7~8人の班毎に分ける。この日は,宿舎の部屋別の班で行った。合計6班あった。7人班には教員が加わり8人とした。
  4. 5~13のようなルールで,8人中何人がゴールに辿り着くかを競う。
  5. まず,第1班の誰かが見張り役の椅子に目隠しをして座り,まだ点灯していない懐中電灯を持つ。
  6. 第2班の人は8人全員がスタートラインに横一列に立つ。そして,リーダー(私)の合図で,忍び足でゴールに向かう。2分以内にゴールしなければ失格。
  7. 見張り役は,この2分の間,音や気配のする方向にねらいをつけて懐中電灯で照らす。15回点灯させて良いが,それぞれ時間は1秒くらい。
  8. 光に当たった人はそこから先へは進めない。光に当たった・当たっていないの判断は審判がする。審判に「当たり」と言われた人はその場で静かに腰をおろす。
  9. 見張り役が点灯している懐中電灯をゆすったりぐるぐる回したりするのは反則。それも審判が判断する。(なお反則は1件もなかった)
  10. タイムキーパーは,残り1分,残り30秒,残り10秒だけを全員に聞こえるように言う。
  11. 2分経った時点でゴールに到達した人数がその班の得点となる。
  12. 攻守交代。第1班がスタートからゴールに向かう。第2班の誰か一人が見張り役となる。
  13. 第3班vs第4班,第5班vs第6班も同じ要領で行う。

このゲーム。意外とゴールに到達しません。シーンと静まりかえった雰囲気を作り出せたので,芝生の上を見張り役に気づかれないようにゴールまで歩くのはかなり難しいのです。ルールを説明した後,班毎に作戦会議をする時間を3分くらいとったので,いろいろな戦法に出たチームがありました。たとえば,スタートラインの隅辺りでメンバーのうち2人が最初から最後まで,わざと大きめの音がするように転がり続けるという作戦をとったチームがありました。これは,その音に見張り役の注意を引いて,他のメンバーの歩く小さな音に気づかせない作戦なのですね。しかしながら,ほとんどの班が8人中1~2名程度しかゴールできなかったです。光に当てられてゴールできないというよりも,見張りに見つかりそうで時間内にゴールまで達しない人の方が多い。なお,一班だけ,見張り役が2分経過する前に15回の懐中電灯の点灯を使い果たしてしまい,余った数秒間で,まだ光に当てられていなかった人,6人全員をゴールさせてしまうといううっかりミスがありました。見張り役も,懐中電灯を15回使い果たしたところで,「あっ」と声を上げ,静かな中で,この時だけ笑い声が起きました。結局,この,6人もゴールできた班が優勝しました。

さて,このゲームのねらいを,発案者のジョセフ・コーネル氏は「冷静さと集中力を養う」としていますが,ゲームの後で,参加者に何か気づいたことは?と訪ねてみると,「音を立てずに歩くのは難しかった」,「目隠ししていても人の気配はわかるものだ」というコーネル氏のねらい通りの気づきの他に,「山の方で何かパチパチと音がした」,「海で魚のはねる音が聞こえた」,「ずっと水の流れる音が聞こえていた」,「遠くで灯台の光が点滅していることに気づいた」,「近所の家の雨戸を閉める音がよく聞こえた」などという感想が聞かれ,ゲーム以外のことにも五感が研ぎすまされる様子がよくわかりました。そして,どれも,ゲームをやる前には気づかなかった音や光でした。

翌日の日中,生徒が休憩時間に「あっ,魚のはねる音が聞こえた」と言いました。

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コメント

五感って便利になった現代のほうがずっと衰えているらしいですね。
こうやって、本来人間が持っているはずの五感をとりもどすことができるのですね。

うーんやっぱりCTセンセにならいたかったなあ・・・

投稿 piyo | 2006年8月 8日 (火) 20時22分

>>piyoさんへ

>五感って便利になった現代のほうがずっと衰えているらしいですね。

そうですね。

>こうやって、本来人間が持っているはずの五感をとりもどすことができるのですね。

ええ,ときどき自然の中で目をつぶったり,耳をふさいだりするだけで,他の感覚が活き活きと活躍し始めますよ。
それは,CTセンセ(?!)に習わなくてもできますね(^。^)

投稿 ct | 2006年8月 8日 (火) 21時24分

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