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2006年11月29日 (水)

『マイ・クレヨン』

昨日のホームルームでこんなことをやりました。06112801_2

  1. 4人一組でグループを作り,机をつけて輪になって座る。
  2. 1人に一枚ずつ画用紙を渡す。
  3. グループに4色のクレヨンを渡し,一本ずつをそれぞれに持ってもらう。どの色を誰が使うかは話し合って決めてもらうが,一度各自のクレヨンを決めたら¸この活動のあいだ中クレヨンの交換は絶対にしない。だから,自分のクレヨンを「マイ・クレヨン」と呼ぶ。(それでこの活動の名前を『マイ・クレヨン』としましたが,オリジナルは,2006年度日本キャリア教育学会全国研究大会の会期中,会員企画シンポジウムにおいて,「學匠」というキャリア教育を支援する会社の代表の方が報告された"It's a small warld"というエクササイズです。)
  4. 各自が,「ホッとする場所」や「ニコニコできる場面」を思い浮かべる。
  5. 数分したら,グループ内の各自が自分のクレヨンを使って,その絵を描いてみる。ただし,一色しか持っていないので,思っていることを完全には表現できない。
  6. 5分ほどしたら,輪になって座っている4人グループの右隣の人に,自分が描いた絵の場所・場面と,自分がどんな気持ちでその絵を描いたかを伝え,自分の画用紙を手渡す。
  7. 受け取った人は,前に描いた人が伝えてくれた気持ちを大切にして,今度は自分のクレヨンで,そこに新たな絵をかきたす。(クレヨンはずっと各自が「マイ・クレヨン」を使うので,これで画用紙の絵は2色になった。)
  8. また5分ほどしたら,また右隣の人に,前の人の場所・場面設定と,前の人と自分のその絵に対する気持ちを伝え,画用紙を手渡す。
  9. 受け取った人は,前の人が伝えてくれた気持ちを大切にして,自分のクレヨンで¸そこに新たな絵をかきたす。(クレヨンはずっと各自が「マイ·クレヨン」を使うので,これで画用紙の絵は3色になった。)
  10. また5分ほどしたら,同じように右隣の人に画用紙を渡し,渡された人はそこにマイ・クレヨンで絵をかきたす。これで4色になった。5分ほどしたら終了。描くのはここまで。
  11. 最後に右隣の人に画用紙を渡す。これで自分が最初に描いた画用紙が各自に戻ることになる。自分が描き始めた絵だが,もうクレヨンでかきたすことはせず,眺める。
  12. 4人で絵を見ながらシェアリングする。

こんな具合です。

ページ冒頭の右上に掲載してある4枚一緒に写してある絵はある4人組の絵です。
なかなか面白いでしょう。ほのぼのしていて。

次に,面白い作品を3つ紹介します。 うち2つは冒頭に紹介したグループの中のものです。

06112802_2 左の絵ですが,描き始めたA君のテーマは,”楽しい気持ち「バイクだよ」”です。
まず,A君のマイ・クレヨンは黄緑だったので,彼はバイク本体を黄緑色で描きました。それから,道と木も黄緑色で描きました。その後,上の手順に従って,青,赤,茶色の部分がそれぞれ別々の人によって描き加えられました。どの順番で描き加えられたかの記録は残していないのですが,2番目には青色のクレヨンを持ったB君が描き加えたことは,絵の構成から推測できます。B君は,A君から伝えられた気持ちをもとに,人を描いたのです。B君が描いたバイクに乗った人は,きっとA君なのでしょう。その次に描き加えられたのが茶色なのか赤なのかはこの絵から推測するのは少し難しいですね。いずれにしても赤のマイ・クレヨンを持った人は太陽と,バイクから吹き出るファイアーと,木にとまる虫¸それにバイクに乗っている人のほっぺたを描き,茶色のマイ·クレヨンを持った人は,バイクに乗っている人の洋服に色を塗り,バイクにも3カ所,部品を描き加えています。いいでしょう,これ。最初に黄緑色でバイクと道と木だけを描いたA君は,自分の画用紙がグループを一周して4色刷りになった絵が帰ってきた後,眺めて,次のような感想を書いています。「(バイクに乗っている)人にものすごいオーラを感じる。太陽がまぶしい」。人も太陽もA君以外の3人によって描き加えられたものです。

06112803_2 次の写真。これも ページ冒頭の絵のうちの一枚です。
描き始めたC君のテーマは”楽しい気持ち「サッカー」”。
彼のマイ・クレヨンは青でした。したがって,彼が最初に描いたのは,サッカーボールと自分の顔の輪郭の一部と右の方のなんだかわからない青いものです。次に描き加えられたのは,絵の構成から考えて茶色でしょう。したがって,青色のクレヨンを持ったC君の右隣に座っていたD君のマイ·クレヨンは茶色だったわけです。D君は,サッカーを楽しむC君の髪の毛と体を描きました。このとき,サッカーをする少年の足は両足とも地面についていますね。さらにそこに右隣のE君が赤色のマイ・クレヨンで描き加えたことが良くわかります。なぜなら,E君の使った赤色によって,ボールを蹴る左足が動いているように見えるようになったからです。これでこの絵にはグッと躍動感が出ました。E君はさらに,ゴールネットと¸サッカー少年の顔を描きました。この顔がまた実に良い表情!最後にF君(この人のマイ・クレヨンは黄緑ですから,このF君は,先ほどバイクの絵を描き始めたA君のことですね)が喜ぶ味方の選手,ゴールをゆるして倒れ込むキーパー,声援を送るサポーターを描いて,ますますこの絵はほのぼのとした楽しい絵となりました。C君は,4色刷りになって帰ってきた自分の絵を眺めて,「予想外な絵が加わって,おもしろくて変な絵になっていた」と描いています。なお,この「変な」という言葉ですが,今の生徒は幅広い意味で使います。必ずしも否定的な意味だけでなく,説明がしずらいという意味でも使います。この絵も良いでしょう?

06112804_1 次はG君が描き始めた”海にもぐって見た光景”というテーマの絵。彼のマイ・クレヨンは青。そこにオレンジ色,黄緑色,茶色が加わっています。この絵で注目したいのは,オレンジ色のマイ・クレヨンの人と,黄緑のマイ·クレヨンの人の2人が,最初にG君が描いた青いサカナの形を模写して,サカナを描いていることです。もちろん,微妙に形は違いますが,これは,カウンセリング関連の用語でいうと,いわゆるミラーリングっていう手法で,相手を受容し,信頼関係を促進する働きがあります。この2人の生徒は無意識のうちにそれをしているわけです。これは最初の人が絵に込めた気持ちを大切にしている徴だろうと思います。G君は,戻ってきたこの絵を見て,「みんな,いろんなものをかいていた。分担してやるということが少し難しかったが,楽しかった。」という感想を残しています。

もちろん,中には,「他の人が描き加えたことによって,自分のイメージしていたものと違ってしまった」あるいは,「○○君がふざけすぎて変な絵を描き入れたので,台無しになった」というネガティブな感想を書く生徒もいました。やはり,グループになった4人組の雰囲気は,このエクササイズの楽しさ・つまらなさを大きく左右します。

しかし,そのようなマイナス面の気づきも含めて,多くの感覚的な気づきが,この活動からは得られました。
そして,このエクササイズの目的である自己開示やチーム・ビルディングには,有効であったと考えています。

素晴らしいエクササイズのヒントを与えて下さった,「學匠」の代表K氏に改めて感謝いたします。

それから,何よりもこのエクササイズに取り組んでくれたクラスの生徒たちに感謝です。
来週のホームルームは,みんなで焼き芋会をやりましょう!

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コメント

その後,
紹介したエクササイズ『マイ・クレヨン』のオリジナル版の作者である梶谷氏(本文中のK氏)より,次のような主旨のメッセージをいただきました。

*日本キャリア教育学会で行われた(梶谷氏の)報告がこのように広がるのはとてもうれしい。
*積極的に広げていただきたい。

また,お名前の掲載も承諾をいただきましたので,
上記のように書かせていただきました。
有限会社『學匠』の代表・梶谷康則様です。

投稿: ct(Magis) | 2006年11月30日 (木) 22時58分

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