秋風がそっと座った
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「私は携帯を持ったことがない。不便だろうと言われるが,それはケータイをもったとき感じることではないのか。それを使わない今は,何が不便なのか私には分からない。便利なものを手に入れるという事は,不便がひとつ増えるという事でもある。」
これは,今読んでいる岡林信康著『バンザイなこっちゃ!』(ゴマブックス 2005年)の151ページから152ページに書いてあることだが,本当にその通りだと思う。それがなかった頃はさほど必要性を感じていなかった携帯電話だが,今では,ないと結構困ることがある。たとえば,ウチの三女は片道約2時間の遠距離通学だが,下校時は遅くなるので,家内か私と携帯メールで連絡を取り合い,安全のために最寄り駅から一緒に帰る。娘か家内か私の誰か一人が携帯を忘れると,この連絡が上手くいかず,結構不便で,オマケに三女に対する心配が増す。
しかしまた,何かを失うということは何かを得ることになると思う。その最たるものが恋だろうか。確かに失恋の痛手は大きい。心にポッカリ穴が空くどころか,体の半分以上をもぎ取られた気分でしばらくは過ごさざるを得ない。しかし,ポッカリ空いた穴。あたかももぎ取られたような体の一部が大きければ大きいほど,そこには「何か」が入る余地がある。それは新しい,愛する人かもしれないし,あるいは信仰のような精神世界かもしれない。
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